- 1.ひとりにはさせないで、という言葉に心惹かれる
- 2.ひとりに「は」って何?
- 3.ちなみに「させないで」はどうだろう
- 4.結論
1.ひとりにはさせないで、という言葉に心惹かれる
私の好きな曲はたくさんありますが、歌詞を見ていて時々引っかかることがあります。
自分では使わない単語とか表現が、気になって気になって頭を離れなくなるんです。
その歌詞が曲の雰囲気をとてもよくしている気がするのに、具体的に説明できないもどかしさ……
この歌もそうです↓
『どろどろ』 作詞作曲:吐息 歌唱:可不,v flower
この曲の歌詞の中にある「ひとりにはさせないで」にすごく心をつかまれます。
聞きなじみがあるのは一人にしないで、とか一人にさせないで、なんですが、歌詞は「ひとりに”は”させないで」なんです。
この「は」がすごく気になって気になって……
あるのとないので印象が変わる気がするんですよね。
一人にしないでなら、言った本人が一人になりたくない感じ。
一人にさせないでなら、妻が夫に対して子供を一人にするなと言っている感じ。禁止というか……
これが「は」が入るとなんかもっと強い感情があるように思います。
とりあえず、一人になりたくないっていうのを言ってるんだと思うんだけど…
2.ひとりに「は」って何?
「は」のもやもやを解消したくて、文法的にどう違うのか?を調べてみました。
国語の先生ではないから間違っているかもしれませんが、まあ見ていってください。
まず「日本語品詞分解ツール」というサイトに歌詞を打ち込みました。
https://tool.konisimple.net/text/hinshi_keitaiso
すると結果は写真の通り。
「ひとりにはさせないで」の「は」は副助詞になるらしい。
副助詞って何ぞや?
まず助詞は語句の関係を示したり、意味を加えたりするものである。
「ひとり」は「一人」で名詞。
その後ろの「に」は格助詞。
格助詞は体言(名詞)について述語や他の語に対してどのような関係にあるかを示すもの。
格助詞の「に」は補語を示すらしいので、ここは多分、一人になるという結果を示していると思う。
で問題の副助詞だけど、副助詞は「いろいろな語について、取り立ててある意味を付け加える助詞」とのこと。
中でも「は」は、特に取り立てて言う(主題化)とある。
取り立てて:特別のものとして取り上げて
主題化:文の一部の語句を主題として確立させる語法
以上のことから、「は」があることによって「ひとりに」を特に強調して主題にしていると言えるはず。
3.ちなみに「させないで」はどうだろう
「させる」は英語の時間によく出てきた使役表現です。
主語が、他の人や物に、動作をさせる、という表現。
「ないで」はサイトによれば助動詞「ぬ」が元の形になる。
「ぬ」は打消し(否定)だから、「させる」を打ち消して「させない」になる。
主語が、他の人や物に、動作をさせない。
だからこの歌詞では「一人にする」という動作を「させない」つまり禁止ということになるはず。
あと最後の「で」はよく分からなかったんだけど、「しないでください」の「ください」が省略された形と思われます。
なので禁止でありながらお願いになってる。
主語は省略されてるけど、歌っている子のことではなく彼女が想定する相手のはず。
その相手に対して、歌っている子を、一人にさせないようにしてほしい、とお願いする歌詞になっているみたい。
なんだか回りくどくも思うけど、直接「一人にするな」と強く言えない関係性なのかなと思った。
4.結論
「ひとりにはさせないで」は、あなたは私を特に一人という状態にさせないようにしてください、という意味で理解した。
やっぱり最初の印象どおり、「特に」一人になりたくないって気持ちなんだろうなと思いました。
「は」で一人ということを強調して、「ないで」で禁止しつつもお願いしていてすごく葛藤しているんだろうな……。
「ひとりにしないで」より切実な思いに感じるところが、私がこの歌に惹かれた理由なんでしょうね。
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